スカイライトの新興国事業 総論

SPECIAL ISSUE

スカイライトコンサルティング株式会社(以下、スカイライト)は 2000年に設立された日本の会社だ。ビジネスコンサルティングとスタートアップ投資を行ってきた。そのスカイライトは近年、新興国でのビジネスを展開している。
東南アジア、アフリカ、中南米でのビジネスだ。決して大会社ではないスカイライトが、なぜ新興国でのビジネスを展開しているのか、そして、どういう方針で展開しているのかをご紹介したい。

羽物俊樹 Toshiki Habutsu
スカイライトコンサルティング株式会社代表取締役

慶應義塾大学理工学研究科修了アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)を経て、2000年にスカイライトコンサルティング株式会社を設立。設立以降、プロフェッショナルサービスを提供するスカイライトコンサルティングの経営リーダーを務めている。顧客から高い評価を得ているコンサルティングサービスを成長させることにとどまらず、ベンチャー投資や新規事業の立ち上げ・推進をリードしている。近年では、クロスボーダーでのコラボレーションやイノベーションにも取り組んでいる。


日本の地盤沈下は今後も続く

日本経済はバブル崩壊以降、「失われた〇十年」のように言われることが多い。しかしその間、成長していないわけではない。円ベースでの実質GDP推移では、1994年度から2023年度まで過去30年で約25%増加している(図1)。ところが諸外国と比較すると、見え方は一変する。

2つのグラフをご覧いただきたい(図2、図3)。国別の名目GDPの推移と一人あたりGDPの推移だ。
ドルベースで他国と比較すると、世界第2位のGDPだった日本だが、中国に抜かれ、今やドイツにも追いつかれた。一人あたりGDPも、他国は上昇しているのに対し、日本はむしろ減少している。2005年時点で日本の一人あたりGDPは韓国の2倍近くだったが、今や同等だ。
世界的に見ると、日本経済がじりじりと地盤沈下しているのは明らかだ。

国内で経済活動を活性化する取り組みは行っているものの、他の国々の成長と比較すると十分ではなく、相対的に地盤沈下していると考えるのが妥当だろう。

では今後、日本が対外的に見て浮上しうるかというと、それは限りなく困難な道である。人口動態から明らかにしていこう。

次のグラフ(図4)は年齢帯別に日本の人口の推移および将来の予測(中位推計)を示したものだ。年齢の区分としては、0歳~14歳、15歳~64歳、65歳~74歳、75歳以上とし、生産年齢人口と呼ばれる15歳~64歳については、人口全体に占める割合を折れ線グラフで示した。2023年までは実際の人口の推定値、2024年以降は将来推計のうち中位のデータを示した。

このうち、生産年齢人口のみを抽出したグラフは以下のようになる(図5)。

第2次世界大戦後、ベビーブームや第2次ベビーブームもあり、一貫して日本の人口は増えてきたが、2010年ごろにピークを迎えて以降、全体の人口は減少を始めた。このことは報道等で広く知られていると思う。だが、生産年齢人口に着目すると、1995年に8700万人あまりになったのがピークであり、2023年には7300万人にまで減少している。既に15%以上も減少しているのだ。

このように生産年齢人口が減少しながらも、円ベースの実質GDPを25%上昇させた要因としては、結婚や出産後も働く女性が増えたことや、65歳以上で働く高齢者の増加、IT活用などによる生産性の向上といったものが考えられる。日本全体として捉えると、人口減少局面でもGDPを増加させた努力があったと言えるのではないだろうか。

だが、今後もその延長線上で頑張れば解決するとは思えない。それはデータに示されている。総人口は2023年で1億2400万人だが、2040年には1200万人程度減少し、約1億1200万人になる。生産年齢人口は2023年の7300万人から2040年には1300万人減少し、6000万人程度になる。これは、日本国内の消費者が10%減少し、労働可能な人口が18%減少するということを意味する。

放っておけば、日本国内の市場は縮小し、ビジネスをしようにも人が雇えない状況に陥る。これは、既に一部の地域や業種で発生していることだ。ひと昔前であれば、地方の街を訪れた際、客待ちのタクシーに乗ることができた。だが、今は呼ばないとタクシーは来てくれないし、タイミングが悪いと予約客が多くて乗れないことすらある。そして、夜間はタクシーサービス自体をストップしているところもある。人口が減ってドライバーも(客も)不足しているからだ。
飲食バイトの求人もなかなか集まらないと聞く。人手が確保できないために営業できない飲食店も見かける。人手不足により事業ができない典型例だ。

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Skylight Consulting Inc.

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