「コンシューマにとっても企業にとっても快適に日常消費を変えていくのが私たちのビジネスです」 /株式会社Showcase Gig 代表取締役 CEO 新田 剛史氏

INTERVIEW

オンラインショッピング、アプリ注文、キャッシュレス決済……私たちの生活において若い世代を中心にスマートフォンを起点とした消費の比重が大きくなってきています。また、新型コロナウイルス感染症への対策のため、これまで以上に生活様式の変化が求められることになりました。そのような中、非接触での注文・決済が可能なモバイルオーダーサービスを主に外食・小売店舗に提供する株式会社Showcase Gig(ショーケース・ギグ) 代表取締役 CEO 新田 剛史様にお話を伺いました。
(2020年3月11日に取材を行いました。
※インタビュー内の「SelfU」は、2021 年 1 月よりプロダクト名称が「O:der Table(オーダーテーブル)」に変更されています。)

株式会社Showcase Gig(ショーケース・ギグ)

ショーケース・ギグは2012年に設立後、2013年よりモバイルオーダープラットフォーム「O:der(オーダー)」を提供し、飲食・小売店における集客・省人化、キャッシュレス化、CRMなどを支援し、店舗運営の効率化を目指しています。非接触で店内・店外から注文と決済が可能な各プロダクトは、新型コロナウイルス感染症の拡大によりニーズが更に高まっており、これからの店舗に欠かせない、デジタル活用による「次世代の店舗づくり」を支援しています。


-最初に、Showcase Gigをどのような想いで設立されたか伺えますか。

私の前職は株式会社ミクシィでした。2010年当時、会員がID登録をして利用するインターネットサービスとしてミクシィは間違いなく日本一でした。しかしFacebookや韓国のカカオトークなどがグローバルで一気に大きくなり、ミクシィも見直しを迫られていました。私自身が今後どうしていこうかと考えたとき、ミクシィに携わり続けるという選択肢もありましたし、元々、起業志向があったわけではありませんが、ミクシィの事業見直しに携わっていく中で、大きな新しいビジネスを自分でやりたい、挑戦せざるを得ないという気持ちになりました。それがShowcase Gigを立ち上げた理由です。当時、シリコンバレーに視察出張に行くこともあり、そこでの熱にあてられたのもあると思っています。

起業するにあたり、勝負できるビジネスは何か、ということは慎重に検討しました。大手企業の資本力に負けない領域でなければいけないし、大手とはむしろ組んだ方がいい。スタートアップの存在意義としても、どこかに真似されて、代替される可能性のあるものをやってはいけないと思っていました。これから来るところでなければいけない。そこで考えられたのが、O2O(Online to Offline)の領域です。私自身のキャリアとしてもモバイル・EC領域ををずっとやってきましたし、ソーシャルギフトの実証実験やPOS連携のAPI開発に関わっていたこともあり、オンラインとリアルの連携は非常に大変だという認識は当初からありましたが、我々のチームにしかできないんじゃないか、という確信がありました。それがShowcase Gigのビジネスの始まりとなりました。オンラインだけの世界は20数年前から始まりましたが、リアルとネットを結ぶソリューションは、当時としては新しい。しかし結実するまでには当初の想定よりも長く、6年ほどかかりました。

その中で生み出してきた弊社のサービスをご説明しますと、「SelfU」はコンシューマ自身がスマホでオーダーができるテーブル注文システムで、スタッフは他のサービスに注力することができるようになります。「O:der Kiosk」は、レジレス店舗を実現する次世代タッチパネル型注文決済端末で、海外の主要都市では一般的になっています。「O:der ToGo」はテイクアウトオーダーシステムで、待ち時間を軽減し店舗にとっての機会損失を阻止するサービスです。

また、Showcase Gigを興すにあたり、ハレのサービスではなくケのサービスが良いと考えました。FacebookなどのSNSも、ミクシィもそうなんですけど、ケのサービス、つまり「日常」なんです。毎日普通にやることって何だろうっていうと、まず思いつくのがコンビニです。毎日行っても嫌にならない店です。もう一つは飲食です。ファストフードや、牛丼屋などですね。弊社は創業より一貫して「日常の消費に溶け込むテクノロジーにより生活を向上させること」をミッションに掲げており、汎用性を考えるなら外食だと思いました。

-スマホの登場は、小売りや飲食を変える一つのきっかけになっていると思います。

それはありますね。2000年代初頭からそれまで、航空チケットや旅館・ホテルの予約といったような高額商品に関しては、サービス提供側として取れる手数料も大きく、またネットワーク環境やWebサイトの使いやすさなどがそれほど良くなくてもユーザーは何度もトライして利用していました。でも、日常の消費では、サービス手数料も小さいし、使いづらかったらユーザーはアクセスしなくなります。そんな中、スマホが出て、特殊なハレの日消費をやらない人でも普通に触るようになっていったことは大きいです。スマホなどでできることはすぐに当たり前に感じるようになりますから、どんどんユーザーの欲求は高まります。

起業時の話に戻りますが、起業するならば10年20年廃らない領域でないといけないと思いました。もちろん、流行りの領域でないなら、ブームが永遠に来ないというリスクとのトレードオフでもあるんですけど。新しいテクノロジーは、後から日常に影響してくるのは間違いなくて、時間がかかるならゆっくり育てていけばいい。だからハレ消費じゃない、日常の方が良かったんです。

-OMO(Online Merges with Offline)という言葉や、リアル生活にデジタルを組み込むというビジネスが一般の人々にも認識されてきたと思います。そのような時代に貴社はどのような方向に進まれるご予定ですか。

様々なベクトルで発展していき、あらゆる情報がクラウドに乗るという状態になると思いますが、世の中はまだそこまでは行っていません。すべての情報がクラウド上に記録されるには、まだまだ時間がかかります。5Gも出てきて、IoT含め全体がグレードアップし……軽くなるという言い方が適切かもしれないですけれど、クラウド化される世界に向かう中で、おそらく必要でなくなるデバイスと、逆に必要になるデバイスが登場します。もっとスタイリッシュで、多機能で、ネット通信できる新しいデバイスが出てきて、色々なところに置かれていくと思います。そのようなマルチデバイスを制御するシステムやプラットフォームが必要になる中で、Showcase Gigが本来やらなくてはいけない領域は、堅くて、地味なところであり、そこにニーズが出ると思っています。実際に弊社がどこまで担うかは適宜判断すべきですが、新しいものが登場することで、派生して必要となるそれらの仕事は誰かがやらなくてはいけません。私は、本当に社会を変えるのは、堅くて・地味な方の仕事だと思っています。

「SelfU」「O:der Kiosk」「O:der ToGo」を統合的に動かす「O:derプ ラットフォーム」が弊社の本当の売りです。お客様の飲食店の中には、Kioskは必要ないところもあり、テイクアウトだけのところもあれば、イートインだけのところもあり、利用するデバイスも様々です。O:derプラットフォームは、そのような様々な状況・ニーズに対応できます。また、店舗の強化支援もしたいと考えています。たとえば、CRMシステムにつなぐとか、売上集計や勤怠情報をERP(統合基幹業務システム)とつなぐとか、拡張すべき要素が多くあります。すべてを弊社で担うということではありませんが、ここは進化し続ける必要があり、ある種、サグラダファミリアと同じで終わりがないんです。

また、デジタルによる社会の変化は、パーソナライズが簡単にできるなど、誰もが分かる形でB2C(Business to Consumer)の世界に波及していくと思います。C(Consumer)へのビジネスに携わっていると、社員が家族・恋人・同級生などにリアリティをもって伝えられるんですよね。なのでB2Cのビジネスは、それはそれで大事にしたいところです。ただ、B2CかB2B(Business to Business)のどちらかだけということでもなくて、1:9なのか3:7なのか比率は分かりませんが、立脚点と論点を明確にする必要があると考えています。弊社は、業種としては飲食プラス小売りというのを立脚点として、腰を据えてやっていきます。

一方で、新しいこともやります。C(Consumer)とB(Business)の連携です。私が以前、東京ガールズコレクションをプロデュースしていた時、スポンサー企業の協力を得てバッグをお客様に渡していました。当時、そのようなキャンペーンを行う上で、スポンサー企業にはお客様にとって役に立つものを提供してもらうことを重要視していました。これを弊社のSelfU上でやりたいと考えています。具体的な例としては、SelfUを利用してくれるコンシューマは飲料会社のドリンクをタダで飲むことができる、飲料会社は露出度を高めることができるというキャンペーンです。最適化され、relevancy(関連性)のある広告であれば、誰にとっても損はないんです。また、アンケートをとることも考えています。普段から企業はアンケート結果を集めるのに相当なお金をかけていらっしゃいますが、本来なら真のターゲットとなるコンシューマに絞ってアンケートをとるべきだし、もっと低コストでやるべきです。つまり、弊社のサービスの中にコンテンツの流通を混ぜ込んでいくということです。このような取り組みは社会インフラ的なサービスを目指す上では必須だと思っていますし、我々の事業ロードマップの延長線上にもあります。今年の年末くらいに数千店舗クラスで実施したいと考えています。

-当面どのようなことを目標とされていますか。

会社にとって、事業の進め方が見えているのだとしたら、あと問題になるのはすべてにおいて「人」です。人を採って育てることに尽きます。いまはまだ、OJTとその人の特性・適性に任せていますが、もっと効果的な方法論はあると思います。

日本が上昇していくことが分かっていた時代に、ITを中心としたコングロマリットが提供していた福利厚生や教育は非常に合理的だったんだと思います。では、今のダイバーシティの時代において、どうやったらいいのかと考えますと、世界中の情報を見てアップデートさせ続けないと、次世代人材は育たないと考えています。また、サーバー構築やインフラ運用を担当するエンジニアはただシステムだけやっていればいいという話ではなく、弊社のメンバーには営業やエンジニアなどの職種の違いはあれども、「全員がプロダクトのエンドユーザーでもあるんだから、実際に店に行って、コンシューマという視点で観察して、意見を言いなさい」と言っています。

弊社としては、そういったことを体系化して教える教育や情報伝達のあり方にチャレンジしたいと思っています。組織は大きくなる度にどうしても軋んでいきますから。答えはないですが、制度づくりは進めていかなければいけないと思います。

-最後に、私たちスカイライト コンサルティングの支援についてはいかがだったでしょうか。

スタートアップやベンチャーの支援を元々やってらっしゃることもあって、それらに対して理解がありますよね。その時々の状況に応じて柔軟な対応をしてくれたことを、非常にありがたいと思っています。なので、ベンチャーで資金調達した会社こそスカイライトさんに依頼すべきだと思っています。彼らは課題しかないですから。大手より支援を必要としていると思います。

Skylight Consulting Inc.

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