Skylight Consulting Vietnamは2022年に設立後、現在3期目を迎えました。代表の渡部が、設立前の準備から設立後の各種取り組みまで、現地でのリアルな体感を交え、お話しします。
また、コンサルティングサービス提供のベースは「人」。現地での人との向き合い方やメンバーの育成、組織の作り方について、今後の展望も含めてご紹介します。
渡部智樹 Tomoki Watabe
Skylight Consulting Vietnam Co., Ltd. 代表
外資系金融機関のITエンジニアを経て、日本企業のグローバル展開を支援したいという想いから、 2013年にスカイライトコンサルティングに参画。商社、製造業、小売、エネルギー、製薬など多業種でのコンサルティングを行うと同時に、近年日本企業から特に注目されているASEAN地域での事業ポテンシャルを継続的に調査。2019年に渡越し、現地企業の事業開発、企業変革、組織風土改革を支援している。
ベトナムでの法人設立準備と度重なる困難
スカイライトに入社以来、グローバルな環境でビジネスを創造していきたいと考えていました。その中でも、国自体が急成長を遂げていて、日本では味わえない経験を積むことができそうなベトナムでの法人設立を志向しました。日本では多くの産業が一通り成熟し、飽和しつつある市場の中で「いかにコストを削減して効率化するか」というテーマの案件も多いのですが、ベトナムはまだまだ発展途上。市場が拡大のポテンシャルを秘め、「売上を大きく伸長させる」というシンプルなテーマの案件が多いことに魅力を感じていました。ベトナムには新興国としての“勢い”があり、「上を目指し、今日よりも明日をもっと良くしていく」という独特の熱気すら感じられます。そのようなホットな環境で、事業の立ち上げと、その先の顧客への価値提供を自ら手掛けていきたいと考えていました。
2019年に日本からベトナムへと拠点を移し、法人設立に向けて「ベトナムでは、コンサルティングサービス自体にどの程度のニーズがあるか?」の検証を開始しました。しかし、胸を躍らせながら歩み出した矢先、2020年に新型コロナウイルスの流行という想定外の事態に直面。綿密に策定した計画は破綻し、全く先行きの見えない状況に陥りました。ベトナムでは国が主導する形でロックダウンが実施され、自宅からの外出は厳しく規制されました。結果、現地で足を使って顧客にヒアリングをして回ったり、セミナーなどのイベントを通じて人脈を充実させていったりする活動は全面的にストップ。ただでさえ容易ではない新天地でのビジネス創造に、感染症の大流行という大きな災いが降りかかったわけですが、「ベトナムという地で顧客企業を支えたい」、その一心で、社会的な激動の時期を乗り越えていきました。
2021年に入ると、前年の新型コロナウイルスによる混乱から社会もやや落ち着きを取り戻します。コロナ禍を経て、以前よりもコンサルティングのニーズが高まってきたことを実感しました。現地で企業の声に耳を傾けた結果、未曾有の困難を乗り越えてビジネスを拡大させるには、従来のやり方に閉じず、外部の専門家を入れて抜本的に状況を打開することが有効であると確信したのです。悩みや課題を抱えている企業各社からは、徐々にコンサルティングの相談をいただけるようになりました。しかし、顧客にとって納得いく案件には至らない苦労の時期もありました。その理由の1点目は、日系・非日系に限らず、ベトナム現地で既に事業運営を行っている企業からの信頼を得るに足る実績が乏しかったこと。日本では数多くの案件をこなし、様々な業界での知見を蓄積してきましたが、ベトナムでは産業のステージや市場の状況が根本から違います。そのため、日本での成果創出の事例は、そのままではベトナム現地の顧客の信頼にはつながりません。「郷に入れば……」ということで、日本で培った経験を活かすために、「ベトナムという環境で、顧客価値につなげるためには?」を考え抜き、日本の事例を棚卸ししていきました。結果、日本での実績や自らの経験知まで含めて、ベトナム現地の企業への貢献につながるノウハウとして語れるようになりました。