海外で結果を残し、貢献できる人材へ。 /一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 専務理事 斎藤真氏

INTERVIEW

TOEIC® Listening & Reading Test、TOEIC® Speaking & Writing Testsなど、英語能力を測定する世界共通のテスト「TOEIC® Program」を実施している一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)。事業は、テストの実施・運営にとどまらず、英語コミュニケーションの場の提供やグローバル人材を取り巻く課題をテーマに学びあう機会の提供など、人材育成のための事業の幅を広げていらっしゃいます。専務理事の斎藤 真様に協会が目指していらっしゃること、グローバル人材に求められる資質などをうかがいました。
(2019年4月10日に取材を行いました)

「人と企業の国際化の推進」を基本理念とし、1986年に設立。「グローバルビジネスにおける円滑なコミュニケーションの促進」をミッションとし、国内外の関係機関と連携しながらTOEIC Programおよびグローバル人材育成プログラムを展開している。


居心地のよい「コンフォートゾーン」から外に出て、グローバルで活躍するための「資質」を備えた人材へ

-まずは貴協会の理念と、事業内容について伺えればと思います。

一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(以下、IIBC)は、「人と企業の国際化の推進」を基本理念に掲げています。人と企業が、グローバライズされた世界で活躍し発展していただきたいという想いのもと、この地球で渡り合うことができる人材育成に貢献していきたいと思っています。
「地球で通用する」といっても色々な段階がありますが、最終的にはグローバルアリーナでリーダーシップをとり、結果を出せるような人材になって頂ければと思います。

理念を実現するために、IIBCには3つの事業の柱があります。
1つ目は、「TOEIC® Program」です。グローバライゼーションが進化していく世界では、英語でのコミュニケーション能力は欠かせないツールです。英語能力の測定・評価を通じてコミュニケーション能力を高めていただくために、TOEIC Programを提供しています。
2つ目は、英語学習をサポートするためのツールの開発・提供を行う「出版・ラーニング」です。
3つ目は、「グローバル人材育成プログラム」です。グローバルアリーナで活躍していくために、語学力だけではなく、多様性や異文化を包含できる人間力、コミュニケーション能力、リーダーシップ等の資質を備えていただきたいと思っています。そのために、気付き・学びの場としての各種イベントの実施や情報発信を行っています。

-TOEIC® Programは、当初から実施している TOEIC® Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)に加え、現在では TOEIC® Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)も提供されていますが、どのような経緯だったのでしょうか?

英語をバランスよく学習・習得するという観点から、TOEIC L&Rに加え、2007年よりTOEIC S&Wが新設されました。日本の学校教育では、リスニングやリーディングが重視され、大学を卒業してもなかなか英語が話せないという傾向にあるようです。世界で結果を出すビジネスパーソンとして、スピーキング力やライティング力が必要であり、聞く・読む・話す・書く、を全てバランスよく出来たほうがよい、という観点でTOEIC S&Wを新設し、普及に力を入れています。

さらに、英語の初心者から中級者を対象とし、英語の日常生活のコミュニケーション能力を測定するTOEIC Bridge Testsも提供しています。

-今の時代に求められるグローバル人材とは、どのようなスキルや資質を持った人材だとお考えでしょうか?

誰でも、自分の周りには境界線(boundary)がありますが、これを越えていくことが大事だと考えています。海外に行く場合だけでなく、地方から東京に来ることもある意味自分のboundaryを越えていくことになりますね。自分にとって居心地のよい「コンフォートゾーン」からboundaryを越えて外に出ていくことが大切だと思います。

その上で、グローバル人材に必要な資質としては、個としての軸(identity)、決断力(decision making)、戦略ビジネスモデル創出能力(strategy)、異文化理解力(cross culture)、多様性活用力(diversity)、コミュニケーション力(communication)、の6つがあると思っています。ただし、最近は、グローバル化と言われている一方で、ナショナリズムが台頭したり、ボーダレス化と言われながらボーダーが高くなったりと、数年前の「グローバル化」や「ボーダレス化」の時代とは様変わりしています。そういった中でもboundaryを越えていける人の、+αの資質として、情報収集力や未来を読む力が必要になってきていると思います。このような6+αの資質を、グローバル人材の資質として考えています。

また、好奇心、チャレンジ精神が旺盛な人、境界を越えた外の世界の国やそこに住む人々に対して貢献する気持ちがある人が世界に出ていったらいいなと思っています。日本人は海外に出た場合、自分だけが一方的に色々なことを吸収して帰って来る傾向にあり、その国に何かを貢献して戻ってくるという人が少ないように思われます。海外に行ったのであれば、まずはその国のことを好きになり、その国や人に貢献することで、お互いにリスペクトし合える関係となります。Takingだけでなく、Givingの気持ちが大事です。

数々のコミュニケーションの場を通じて、人生の選択肢や世界観を広げてほしい

-グローバル人材の育成を支援するにあたり、IIBC様で行っている新たな取り組みについてお聞かせください。

「グローバル人材育成プログラム」は、「地球人財創出会議」や「未来を語るトークイベント KIZASHI」を開催しています。「地球人財創出会議」は、地球を舞台に活躍されているリーダーの講演を聞き、それを題材に参加者、講演者一体となった議論を行うのが特徴です。答えをもらう場ではなく、互いに刺激しあって思考を深め、気づきを得て、同志とつながる場に作り上げています。若者向けの「KIZASHI」は、同調圧力の強い日本文化や組織文化に染まる前に、”世界が多様であることを肌で感じてもらい、境界を越える勇気をもってほしい”という願いから企画しました。地球人財への一歩を踏み出すきっかけになれば、と思っています。

また、CSR活動として、「IIBC ENGLISH CAFÉ 」を期間限定で開催しています。日本は、アジアの他の国に比べても英語を話す機会に乏しいのが現状です。そこで、英語を話す場の提供としてIIBC ENGLISH CAFÉをオープンし、英語に慣れることでアレルギーをなくしたり、英語でコミュニケーションを取ることを楽しんでいただいたりしています。一般の学生や社会人など、誰でも参加することができ、東京や大阪を中心に、最近では石巻や金沢、熊本の益城町でも開催しています。IIBCは財団法人として、世の中のニーズを意識した活動を通じて、社会に還元していきます。

これらの他にも、TOEIC Testsのスコアをお持ちの学生や社会人の皆様を対象とし、国際イベントへの通訳や案内等のボランティア派遣を行っています。国内で開催されるサッカー、バスケットボール、ラグビ―の国際大会や、四大陸フィギュアスケートなどで海外の方と交流することで、diversityやcross cultureを感じ、慣れることができます。我々が提供するTOEIC Testsを利用してボランティア等で活躍することで、世界観を深め、TOEIC Testsのスコアが人生の選択肢を広げるパスポートになったら、と思っています。

-今後、IIBC様としてチャレンジしていきたいことや、ウェイトを置いていきたいことは何でしょうか?

まずは、テストの実施団体から語学、更にはグローバル人材育成のsolution providerへと展開していきたいと考えています。IIBCは、 TOEIC Programのテスト実施運営がコアの事業でしたが、今後は英語力の測定だけでなく、英語学習をサポートし、英語力が向上するような学習ツールをパッケージとして提供していければと思います。

世界の土俵で活躍する人材になるには、英語学習に留まらず、先ほど申し上げたようなグローバル人材としての6+αの資質も必要となってきます。そのため、グローバル人材を育成するプログラムや仕組みを強化していきたいと思っています。

最後に、急速なテクノロジーの進化とともに、AIなど英語を話すツールも色々出てきています。外部環境も含め時代の要請に即したサービスを提供し続けていければと考えています。

-弊社がご支援したプロジェクトで、お役に立てたところはどのようなところでしょうか?

スカイライトさんには、ERPを用いた経理/業務システムの統合化、TOEIC公開テストの運営最適化/システムの導入、及び中期経営計画の作成の3つのプロジェクトでお世話になりました。

プロジェクトでは、複雑な社内の業務内容やシステム、組織を調べ上げ、細かい数字を追うなど、内部の状況を丁寧に分析していただきました。迅速で、かつきめ細やかな対応でした。その上で、我々の立場に立って、どのような業務やシステムが一番よいか検討・提案していただき、我々も意識していなかった多くの気づきがありました。

スコープを切った中で調査だけして結論を言い放つ、といった形式的な対応ではなく、顧客と一体になって、こうあるべきなのではないか、違うのではないか、と一歩踏み込んで我々と喜怒哀楽を分かち合いながらプロジェクトを進めていただきました。我々と同じ目線、同じ立場に入って対応していただいたことに感謝しています。

Skylight Consulting Inc.

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