デジタルレイバーで楽しい時代へ進化する /RPAテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 大角 暢之氏

INTERVIEW

「RPA(Robotic Process Automation)」をご存じでしょうか? 書類のチェックや定期的なレポート作成といった事務を自動処理してくれるロボットを導入して、ホワイトカラーの生産性を向上させようという考え方です。ただしロボットといっても、ロボットアームのようなハードウェアではなく、サーバーやPCなどのコンピュータ内で動くソフトウェアです。今回は、「RPA」という言葉が登場する以前から日本にソフトウェア・サービス「BizRobo!」を提供してきたRPAテクノロジーズの大角暢之社長に、RPA導入の成功要因やデジタル労働者(デジタルレイバー)の考え方について、お話を伺いました。
(2018年9月18日に取材を行いました)

RPAテクノロジーズ株式会社

ホワイトカラー業務の代行を実現するRPA(Robotic Process Automation)を推進するリーディングカンパニー。急速な少子高齢化に伴う労働生産人口の減少という課題に対する解決策を提案する企業として注目を集める。2008年、クライアント企業の新規事業に対する投資及びコンサルティング・サービスを手掛けるオープンアソシエイツ株式会社のセルフ・プロデュース事業として事業部が発足し、2013年にビズロボジャパン株式会社として独立する。2016年、現社名に。同社のRPAソフトウェア・サービス「BizRobo!」を通して、あらゆる企業のビジネス・業務に無限の可能性を提供している。

RPA導入の効果

-さっそくですが、RPAを導入することで得られる効果を教えていただけますか?

RPAというと、そういうツールを入れて無人化するというイメージで語られることが多いです。でも、そういうIT技術としてではなく、人事・HRの経営技術としてみるべきです。つまり、デジタル労働者を雇用してアシスタントとして使いこなし、人の生産性を上げるということです。もう少し具体的に説明しますと、このデジタル労働者は24時間働いてくれますし、要らなくなったら減らすことも簡単にできます。人間だと1件2分、20件やれば40分かかるような作業を、このデジタル労働者は数秒でやってしまいます。夜間や早朝など人間がわざわざ出社して対応しなければならない作業も、このデジタル労働者は残業代無しでやってくれます。教えた作業は単純なミスをしませんので、品質も高いです。

人間が本来やらなくてよいような単純作業の繰り返しや時間外の業務をやってくれるアシスタントとして活用すれば、人間の生産性は飛躍的に向上します。そういうHRとしての効果が期待できます。

-効果を出しているのは、大企業や金融機関が中心というイメージを持っています。

2016年頃から日本でRPA導入の気運が高まってきましたが、その頃は金融機関を中心とした大企業が多かったと思います。例えば、メガバンクで単純作業を行員がたくさんやっている。システムで対応しようとすると、開発予算がかかるし、ITベンダーの技術者確保の問題もあり、クイックに対応できない。そういう場面にRPAを導入すれば解決できるということで様々な取り組みが進みましたし、メディアでも「何万時間のコスト削減」とか「働き方改革」とかで大きく取り上げられてきたと思います。

ところが、2017年に入ってからは製造業での導入が増えています。製造業だと実験的にすぐに取り組んで、しかもモノ作りのDNAがありますから、自分たちでどんどん進められるのではないでしょうか。業種でいうとサービス業も増えています。

地方での活用も進んでいます。自治体や地域の中核企業が音頭を取って、地域にロボットセンターを作って地域で活用していきましょうと。地産地消と言っているのですが、RPAを活用できる人材、つまりRPA人材を地域で育て、そのRPA人材がデジタル労働者を作ったり直したり上手に使いこなしたりする能力を、その地域でシェアしていくという考え方です。

-成功している企業の例を教えていただけますか?

ある企業では、夜間の受付をデジタル労働者で対応できるようにした結果、まず機会損失が減りました。さらに、受付からの事務処理にもデジタル労働者を活用したことで、生産性は2倍近くにもなりました。少ない事務時間でより多くの処理ができた結果、給与を下げずに労働時間を短縮し、実質賃上げを実現できました。また、担当者自身はリモート、例えば自宅からデジタル労働者を管理すれば良いので、リモートワークも推進することができました。これは、ワーキングマザーにも喜ばれています。昨今は人材不足が問題になっていますが、働き方の多様化にも対応できるようになっています。

RPA導入を成功させるには?

-成功事例の一方で「こんなものか」とか「失敗した」とか、ガートナーのハイプ・サイクルでいう幻滅期に入っているという話も聞きます。

先行して導入を進めた企業の中には、RPA人材を外注する形で、効果の大きいところから進めたところもあります。すると、ある程度導入が進んだ後には、効果の小さいものだけが残ります。また、業務変更などでデジタル労働者を修正する場合にも、また外注しなければならず、コストが下がりにくくなります。そうすると期待した効果が得られずに幻滅するような話になりかねないです。

-RPA導入の成功の秘訣は何でしょうか?

私の経験からすると、「内製」が重要なキーワードです。もし、デジタル労働者じゃなくて、生身の人間の部下を雇った際には、自分で部下に仕事を教えるし、仕事の内容が変わったら自分で指示するじゃないですか。そういうようにデジタル労働者の面倒を見て育成していくことを内製できると、幻滅期を乗り越えられる、というより、幻滅期を迎えないための大事な視点だと確信しています。RPAのツール自体はそれほど難しいものではなく、「RPA」という言葉が出てくるずっと前からあるような確立された技術ですから、RPAを使いこなせるRPA人材をデジタル労働者の面倒を見る新たな役割として育成していくことが必要なのではないでしょうか? さらにRPA人材のコミュニティ作りやデジタル労働者活用の方法論の整備、リテラシーの向上など、まさにRPAインフラの整備のような環境面の課題は、まだまだあると思います。

先進企業の取り組み

-RPAに先進的に取り組んできた企業は、さらに何に取り組もうとしていますか?

私の経験では、まず「ドキュメント」です。申込書とか請求書といった紙の処理をそもそも最初から電子化していくデジタルトランスフォームに取り組むところが多いです。紙を無くすこととその処理をデジタル労働者が行うという、一気通貫型での連携を志向して。

他のアプリケーションやツールとの連携というのもあります。例えば需要予測のアプリケーションとつなげて、精度を高めた発注処理を自動化していくとか、センサーと連携させて故障検知に使うとか。これらをAIというかどうかは微妙ですが、デジタル労働者の実務を高度化していく流れがあります。

また先ほども触れましたが、デジタル労働者をシェアするとか、地産地消していくというのも取り組まれています。例えば、業界横断で同じようなチェック業務をやっていて、それ自体はコストでしかなく、競争要因にならないようなものは、業界内でデジタル労働者をシェアしようという動きがあります。他には、大企業が小さな取引先・発注先をたくさん抱えている業界でも動きがあります。そういう取引先には本質と関係ない雑務って山のようにあるんですが、自分でRPAを導入して環境作ってデジタル労働者を面倒見ていけるかというと、それは現実的ではありません。なので、大企業側からデジタル労働者を取引先に提供して、クイックに利用できるようにしたり、シェアすることで業界全体を良くしていこうという動きがあります。

大角さんの未来の展望

-大角さんの、この先のビジョンについて、お聞かせいただけますか?

この会社を作った時に、ビジョンを作りました。「楽しいアナログ時代へ進化する」という言葉です。今は「アナログ」という言葉は取ってしまったのですが、想い自体は変わらないですね。幸せではなく楽しい。幸せってマイナスがゼロになることが多いと思うんです。でも、楽しいはゼロを1にして100にしていく。そういうような生き方をしていきたいです。デジタル労働者を活用することで、生産性が上がり、人間としての1日の時間の使い方が変わると、そういう楽しいが生まれるのではないかと。

もう一つの楽しさの定義は自己実現というか、真剣にその仕事をしている人というのは問題意識も持っていますし、こうあるべきだと思っていらっしゃると思います。人を使うとお金がかかるけど、デジタル労働者を使えば試しやすい。失敗しても消せばいいですし。デジタル労働者を活用することで会社の中でもいろんなことが表現しやすくなって、人の暮らしとか、新しい仕事の形とか、その中で一社員の自己実現がボトムアップに出ていく世界というのがいいなと思っていまして。

弊社、RPAテクノロジーズで主催したBizRobo! LANDというイベントの中でも、非常にありがたかったのは、参加・出展されている会社さんが本当に楽しい空間や時間を表現されていたんですね。これは非常に重要なことだと思います。

そんな中、我々のミッションとしては、短期的にはもっとRPA・デジタル労働者を大衆化させていくこと。規模の小さい企業も含めて展開することです。中期的には、デジタル労働者をシェアしたり高度化したりということでのスケール化です。並行して、楽しく新しい自分の表現の仕方をされていらっしゃる方をどんどんフィーチャーして、それが当たり前になっていくことかなと。人間のエネルギーのようなものにフォーカスした経営理論みたいなものを有識者に作ってもらって、女性やシニア、学生など多様な人が様々な働き方で自己実現できるような社会を作っていきたいですね。

Skylight Consulting Inc.

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