調査②の結果:上司と部下に関するもの

設問1)困ったこと・工夫したこと・改善が難しかったことなどへの自由回答については以下のとおり。

通勤時間や移動時間の削減は大きなメリット

調査②の中に生産性に関する設問があったからだと思われるが、「リモートワークだと通勤時間や移動時間が必要ないのが大きなメリット」との記述が多数あった。「マネジャー以上」にも「スタッフ」にも多い回答だったので、従来の通勤の負担はそれほど大きかったということである。

もしそうであれば、コロナ禍が収束した後の勤務形態にも配慮が必要かもしれない。完全出勤前提のワークスタイルに単純に戻してしまうと、通勤の負荷を大きく感じてしまい、不満が大きくなる可能性がある。

生産性自体については、自分で行う「作業」はリモートワークの方が生産性は高いという意見が多く見られた。コンサルタントは、マネジャー以上も管理仕事だけでなく自分の作業を持っていることが多いので、クラスを問わない回答だった。出社すると自分で制御できないタイミングで話しかけられて作業を中断しなければならないことがあるのに対し、リモートワークではあまり中断させられないのが大きいと思われる。

一方で、他人とコミュニケーションしなければならない業務は、生産性は同じか少し落ちるという回答がいくつかあった。例えばスタッフが作成した資料を上司であるマネジャー以上がレビューして修正していく場合には、同じ場所で密にコミュニケーションした方が速いという意見があった。

コミュニケーションの工夫は頻度の確保と気軽な相談

上司と部下の関係においても、コミュニケーションの工夫に関するコメントが多数あった。

「プロジェクトチームの朝会または夕会を増やす」というチーム全体のコミュニケーションの工夫だけでなく、個別に「1on1ミーティング」を設定して、個々のスタッフとの関係性に気を配っていることが多いと感じられた。当然のことだが、チャットやメール、場合によっては電話で気軽に聞いてOKと上司から部下に働きかけをしている。

ところが、これを受け止めるスタッフは大きく2種類に分かれた。一つは、相手の状態を気にせずにチャットやメールを出せることから、コミュニケーションがしやすくなったと回答したグループだ。上司とのデジタルのコミュニケーションにあまりストレスを感じていないと思われる。

もう一方のグループは正反対だ。「気軽にチャットで」と言われても、あまりに簡単な質問をしてしまったら多忙な上司の時間を奪ってしまうので簡単なものは出せない。チャットしたタイミングで上司がどういう状態かわからないので出しづらい。なるべく同じ場所に出勤して仕事をしたい。そういうグループだ。相手を見て仕事をしたいという、対人共感性の強さというのがベースにはあるのかもしれない。

対人共感性が強いと思われるスタッフの中には、「直接クライアントと接することができない」ことによるモチベーションの低下を訴える者もいた。その場で生の反応や表情を感じることを大切にするのは良いことだが、そういう対人への想いはリモートワークの環境下ではマイナスに働いてしまったようだ。

また、上司はそういうスタッフの微妙な変化には気付きづらいということがリモートワークの欠点として挙げられていた。完全リモートワークだと、どうしても画面越しの関係のみになってしまう。上司としてはスタッフの特性にあわせて、リアルコミュニケーションを検討する必要があることが示唆された。

在宅勤務の環境に配慮が必要

一人での作業での生産性向上は多数挙げられていた一方で、メリハリがつけにくいという指摘もあった。意識して休憩を入れることは必要だろう。

スタッフの自宅の通信環境の問題も若干だが指摘があった。回線が速くないため、サイズの大きいファイルをダウンロード・アップロードするのに時間がかかるというものだ。決定的な問題ではないようだが、在宅勤務を今後も認めていく場合は課題の一つになるだろう。

同居家族がいる場合の作業環境、特に、幼い子どもがいる場合の作業環境の問題もある。落ち着いて自宅で作業しづらいことや、Web会議を行いづらいことだ。これに対しては例えば会議の時間を配慮することで多少は改善できるかもしれないが、根本的な解決にはならない。レンタルオフィスなど、都心まで出勤しなくても利用可能な自宅以外でのリモートワーク環境を整えることも検討していく必要があるかもしれない。

数値回答はマネジャー以上とスタッフとで差

調査②の数値回答は、クラスによって差が見られた。

まず、設問2)の生産性については、マネジャー以上だと25%が150%の生産性と回答しており、全体の95%がこれまでと同等以上の生産性と回答している。一方でスタッフだと、これまでと同等以上という回答は78%に低下する。

リモートワークに対して、モチベーション低下を感じる、メリハリがつけづらい、上司に気軽に聞けないとコメントしているスタッフは総じて生産性の低下を感じているようである。

生産性が上がったと感じる要因としては、先に挙げた通勤時間や移動時間の削減や、会議のための移動時間が無くなったこと、自身の作業に集中できること、が挙げられている。

設問3)「(リモートワークに関して)もし自由に選べるならどちらがいいですか?」という質問の回答も、マネジャー以上とスタッフとで差が出た。

マネジャー以上の場合は、「5:リモートワーク中心」と「3:半々」の2つがそれぞれ40%の回答となった。リモートワークの効果を認めているマネジャー以上は多いものの、その限界も理解していることから、回答が2つの山の形になっていると考えられる。リモートワーク中心と回答したマネジャー以上の人も、全く出社しないことは考えておらず、必要な対面での打合せや実地の作業のためには出社すると考えている。

スタッフの回答はマネジャー以上の回答と大きく2点が違っている。一つは「リモートワーク多め」が最多回答だったことだ。週1-2日は出社し、あとはリモートワークというイメージだろう。もう一つは「出社中心」という回答が13%あったことだ。「出社多め」と合わせると17%に達する。

生産性の回答と合わせて見ると、生産性に低下を感じているスタッフほど出社中心と回答しているようだ。つまり、そういうスタッフはリモートワークに問題を感じているということが言えよう。

まとめ

以上が、弊社スカイライトでの「リモートワーク実態調査」の結果です。

生産性の向上や通勤時間の削減などリモートワークにはメリットも多い一方で、デメリットも多数挙げられました。リモートワークではどうしても対応できない仕事があり、出社して対面で行うことの必要性も再認識させられる結果となりました。また、リモートワークやその前提となるデジタルを利用した働き方の受容度には個人差が大きいことも浮き彫りになりました。対人共感性の高い人にとって、リモートワークをストレスに感じてしまうというのは大きな課題です。

業種の違いや働き方に対する根底の考え方の違いなどにより、弊社で浮き彫りになったメリットやデメリットは、そのままみなさまの企業・組織に該当しない部分もあると思います。それでも本調査結果が少しでも参考になれば幸甚です。

新型コロナ禍は早晩、落ち着いてくるものと思われます。その後の働き方として、リモートワークのメリットを多少なりとも取り込むことは一考の価値があると思われます。出社しての対面での働き方の良さとリモートワークのメリットの両方を享受できるような働き方を見つけられることを願っております。

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