ー商売は友達の範囲を超えない

羽物:原田さんとはアクセンチュアに入ってからのプロジェクトでも一緒だったりしたけれど、お互いに退職して、久々に英治出版のオフィスを訪ねたのが2002年頃ですね。

個人的に社外取締役を引き受けて、その後、ブックファンドの仕組みでウォートン経営戦略シリーズをスカイライトと英治出版の共同プロジェクトとして進めました。韓国のBook21との合弁で始めた韓国の子会社Eiji21の経営状況をBook21の本社(韓国パジュ)に一緒に行って確認したのが2005年。そのEiji21を英治出版が引き取るというのが一つのきっかけになり、英治出版の成長を一緒につくるということでスカイライトからの出資になりました。

またスカイライトには創業して間もない頃から「投資と併せてサービス提供を行う」という考えがあって、成功報酬型のモデルもその頃から検討していました。この時に、その成功報酬型モデルでやるのはどうかと検討して、社員(現英治出版取締役CFOの藤竹)も出向させることになりました。話が少し脱線しますが、スカイライトは一時期、20代限定のビジネスプランコンテスト「起業チャレンジ」を開催していました。一定の役割を終えたと判断して現在は行っていませんが、これは、当時、英治出版の社外取締役をしていた松山太河くんが、米国のシードアクセラレーターであるY Combinatorを教えてくれたのがきっかけです。

原田:その出会いも良かったということだね。

羽物:あの時、一緒に韓国に行っていなかったらスカイライトが英治出版に出資するということには繋がらなかったと思うし、英治出版にそういうニーズがあって、スカイライトは出資とセットでのサービス提供を拡げていきたいと考えていたので、それがパジュで繋がったということなんですよね。いろいろなことが繋がっている。

原田:まあ僕は運がいいと常々思っています。
よく起業について「何が成功の秘訣ですか」と聞かれますが、それって「運」でしかないなといつも思います。もう一回英治出版を創れるかと問われても、「創れないな」としか思えません。

子どもの頃に父親から聞いた「商売は友達の範囲を超えない」という言葉。それを聞いた時は「お父さんは中小企業を経営しているからでしょ」と思いました。大手の百貨店に行けば、知らない人に物を売っているじゃないかと。

でも、自分のビジネス人生に一つの区切りをつけてみると、本当に「商売は友達の範囲を超えない」と改めて思うので、羽物さんには一番感謝しているし、スカイライトという組織というよりも、関わってくれた友達、仲間というのが一番大切だなと思っています。

まあ、組織対組織となるとそれはお互い企業としての考えがあってやるんだよねとは思うのですが(笑)、そのきっかけは仲間であり、友達の範囲を超えないということだし、大企業の社長をしている人たちと東京マラソンを走ったり、釣りに行ったり、このオフィスで飲んだくれて二日酔いになるとか……もし今もアクセンチュアにいたとしてもそんなことは起こらなかったと思います。起業した時には思ってもいなかったことでした。

自分のビジネスのキャリアの中でも相当面白いことができた時間だったんだろうなと振り返ると、友達や目の前の人を大切にするとか、「誰かの夢を応援すると自分の夢が前進する」という信念は間違っていなかったし、自分の理想をはるかに超えた現実を大切な仲間と一緒に手に入れられたな、と嬉しく思っています。

次ページ) グループの中で「英治出版」という個性が輝く

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Skylight Consulting Inc.

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