調査①の結果:クライアントとの仕事に関するもの

9割がリモートワークを実施

設問1)リモートワークの状況については、アンケートの結果、「ほぼ100%リモートワーク」が65%となった。さらに「7割リモートワーク」と「4割リモートワーク」を含めると、9割のプロジェクトでリモートワークが実施されていた。

参考までに、東京都の調査では従業員30人以上の都内企業のテレワーク導入率は新型コロナの感染拡大以降60%前後を推移しており、従業員300人以上では85%前後となっている。

東京都の調査と比較しても、スカイライトの結果はかなり高いリモートワーク率となった。出社中心は1割であったが、各プロジェクトにはそれぞれ出社が必要な状況があった。

1) 守秘性が高く、クライアントの社内で情報・データを扱う必要があった
2) 情報システムに関するプロジェクトで、 システムにアクセスするため出社が必要
3) ワークショップを複数回行う内容であり、集合型で行う必要があった
4) 研修実施の業務で、対面で行う必要があった
5) クライアントの要請で、出社していた

もちろん、出社の際には感染対策を十分に行って、業務にあたっていた。

アンケートでは、時期による状況の変化を問わなかったが、コメントを見ると、緊急事態宣言が発出されるなど状況が厳しくなるとリモートワークに、状況が改善されると週2日~3日の出社といったように切り替えているところもあった。(※その場合は通算で何割出社としていたかで回答してもらった)

次に、そんなリモートワーク環境下で、どのようにプロジェクトを進めていったのか、設問2)の回答を見ていく。

工夫したこと

回答の内容はほとんどが「コミュニケーション」に関するものだった。まず「工夫したこと」の主なものを分類してご紹介する。

コミュニケーション頻度の確保

同じ場所に出社していれば気軽に話もできるが、リモートワークになると「会議」を設定しないと会話がされない。そのため、通常時にも設定される会議以外に、頻繁かつフランクに話せる場を設定していた。

  • 短時間でも、朝会または夕会を設定し、気が付いたことを何でも話すようにした
  • キーパーソンと定期的に直接のミーティングを設定した
  • 何人も参加するWeb会議だと発言しづらく、発言しない人もいるため、会議終了後に個別に感じたことや考えを聞いてフォローした(チャットまたは電話)
ツールの活用

「コミュニケーション頻度の確保」に加えて、ツールの活用も多数見受けられた。

  • (SlackやMicrosoft Teamsなど)ツールのチャット機能で、こまめに会話するようにした
  • プロジェクトの疑問点などを書き込んでやりとりできる掲示板を立ち上げたその後、QA集や用語集として再編集して共有したところ評判が良かった
Web会議の環境面の配慮

Web会議のための環境面での工夫も見られた。

  • PC2台を用いて、音声と資料共有を分け、リスクヘッジと音声ラグを解消したWeb会議であまりに多数の資料があると共有の手間がかかるため、議案や資料を絞った
  • 大勢とのWeb会議の場合は事前にテストした
Web会議中の工夫

Web会議には、対面の会議と比べたデメリットがいくつかある。カメラをONにしたとしても顔周辺しか映らないため、相手の微妙な表情やしぐさなどがわかりづらいこと。同じ場にいる感覚が乏しいこと。同時に発言すると会話が成立しないこと。そういったことから、Web会議では発言しても反応が乏しく感じる人や、発言しにくいと感じている人も多くいる。せっかく会議をしたのに意思疎通が不十分で後で揺り戻しがあるといけないことから、さまざまな工夫を行っていた。

  • Web会議だと発言しにくい人もいるので、具体的な氏名を挙げて「○○さんどうですか?」のように促すことで発言してもらう
  • Web会議のルールとして、カメラをONとした
  • 資料を共有してしまうと相手の表情が見えないので、サブモニターを購入し、2画面使える環境にした
  • Web会議中に頷く頻度を増やした
  • 話されている内容を、Web会議で共有している資料上に書くようにした
  • 共有ホワイトボードを利用して、話されている内容を視覚化した
資料の共有

対面の会議では、資料を印刷して配布することも可能だが、Web会議ではできない。そこで、事前に資料を送付することをこころがけていた。また相手のITリテラシーが十分であれば、会議中に同じファイルを共同編集することもあった。

  • 必ず事前に資料を送付した
  • (セキュリティポリシー次第ではあるが)BOXのようなWeb上でのファイル共有サービスを利用した
  • Google DocsやSheetsは共同で編集ができるので、Web会議をしながらどんどんUpdateしていった
リモートワークで良かったこと

リモートワークの方が以前より良かったことも複数挙げられた。効率性が向上したことに加え、内容や品質面でもかえって良かったという指摘があった。

欠席者にも伝えられる
  • 会議の欠席者には、これまでは議事録や資料を回すなどポイントを伝えるのみだったが、録画を見てもらうことでその場の会話のニュアンスも伝えられる
時間や費用が効率化
  • クライアントが複数拠点を持つ場合や地方の拠点の場合、これまでは当たり前のように出張していたが、Web会議だと時間や費用が効率的になった
準備やフォローにより共通理解が生まれた
  • リモートワーク環境ということで、より注意深く準備やフォローをするようになり、むしろ柔軟で速やかなコミュニケーションができるようになった。その結果、クライアントのプロジェクトメンバー全員の共通理解として推進できるようになった
時間調整がしやすくなった
  • 在宅でのWeb会議中心になったことで、(自分の時間も、クライアントの時間も)時間調整がしやすくなった
リモートワークでうまくいかなかったこと

デメリットも多く挙がった。解消できない場合には、限定的に出社して対面での会議を行うプロジェクトが多く見受けられた。

Web会議には限界がある

Web会議には、1) カメラで映る範囲が限られ参加者全員の反応は感じられない、 2)「場の共有」感覚に乏しい、3) 発言が一部の人に集中しやすい、4) 大きな図面や模型を見て全体を俯瞰することは難しい、等の限界がある。そのため、以下のような場合は対面の会議を設定していた。

  • 重要な判断や繊細な交渉を行う会議
  • やわらかいアイデアを出し合う会議
  • 大きな図面や模型を見て全体を俯瞰しながら行うディスカッション
人間関係の構築が難しい

リモートワークでは、人間関係は深まらないという意見が多数挙げられた。

  • カメラ越しでは相手の真意やニュアンスを汲みづらい
  • 雑談が無くなり、関係者の人間性や本音をつかみづらい
  • 会食を実施できず、人間関係の距離感を縮めづらかった
チャット・メール・会議が増えた
  • お互いに出社していれば、ちょっとした会話で済むことも、チャットやメールの利用が必要で、会議の数自体も格段に増えた

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